あんべ光俊 with TOBIWOW BAND 〜仙台Rensaで逢いましょう〜

秋の休日、あんべさんを見るのは初めて、あるいは屋外イベントステージでしか見たことのないという友人を誘ってあんべ光俊さんの仙台ライブ行って来ました。

トビウオバンドつきのスペシャルライブとあって、あんべさんビギナーの皆さんも全アルバムCD持ってる私も

影アナに爆笑し、オープニングのプロフィールスライドで同時代を生きてきた感慨に浸り、

ステージが始まると次々と繰り出される名曲の数々、被災地応援ソング、命をつづった短歌ソング、休憩中のバースデーパーティコーナー、苦悩した青い時代の歌、そしてに客席を照らすまぶしいビームライトで、ステージと一体となって歌って踊って盛り上がる重厚なロックサウンドに、心の昂揚を感じ感動で心満たされた仙台ライブでした。

今回のライブプログラムに掲載された作家高橋克彦氏のメッセージ、「60歳を過ぎて本当のピークを迎えた、こういう歌手は日本にはいない」「歳を取ればこそ伝えられるものがある。蓄積されてきたものが華開くことがあるのだと(そのことで私が勇気づけられた)」とあんべさんを評されていました。

本当にステージでのアクションも歌唱も年齢を感じさせない今一番旬なアーティストの輝きを放っておられました。

私みたいな市井の者が偉そうですみませんが、私もあんべさんが何か一つ突き抜けた高みともいえるような人生を極めたステージに立っていると感じます。

全然マスターズじゃないのです。エネルギッシュで自然体の現役ロックフォークライブで、観る側も「中高年」である自分の年齢が意識から消えてしまいます。

それは、あんべさん本人が年齢を意識してないから、見る側もその境地引きこまれるのでしょう。

「僕らはつかの間の旅人」と、イーハトーブの風が教えてくれたように、太古から続く悠久の自然の流れの中で、老いも若きもその数十年の年齢差なんて、実は誤差なのかもしれません。

若いころ何故何故坊やだったというあんべさん。

ロック調強かった今回のステージでは、12月の狼のように都会の片隅で「疑問符」に煩悶し荒れ狂っていた当時の若者のそのものに思えたし、一方見事にその答えを体現しているような突き抜けた癒しの境地にある彼もそこにいて、どちらも一人の人物として何のねじれも違和感もないのです。

人はこんな風に苦悩しながらも成熟し、こうも他者に共感し励まし癒せる人になれるんだって、あんべさんというアーティストを通し、人間の光を感じます。

光とは光単体で認識できるものではありません。

あんべさんの音楽には光も闇もどちらもあり、どちらにも等価の意味があり、青い過去も成熟した現在も誰かの借りものではない、一貫した一人のアーティストの全てが真実としてここにあります。

これからもその音楽は私の心に輝きを放ち続けるでしょう。

あんべ光俊の音楽を知る者は幸せだと思います。

今回と同じトビウオバンドつきの圧巻のステージ、10月7日(土)東京渋谷プレジャープレジャーにも皆さまどうぞおでかけくださいね。

さて以下ネタバレ感想です。

あんべ光俊 with TOBIWOW BAND

心よ青きままに歌え2017.9.30(sat) 仙台Rensa

01.kizuna伝心

02.青い大地に夢は始まる

03.FUKUSHIMA TOWN

04.悲しみの向こう

05.ひと粒の雨

06.オリンポスの果実

07.やさしさは欲しいけれど

08.ロンリーボーイ

09.遠野物語

休憩中

みんなでお誕生会~ハッピーアニバーサリー~

13.ふるさとを歌う短歌より(ソロ)

 こうへいさん / それでも頑張る僕らのタカタ

14.星の旅

15.通りに飛び出して

16.Born in the night

17.夜のしずく

18.夢の扉

19.トビウオ

20.一億の夜を越えて

21.Born to be wild

22.ロングラン

E1.いちゃりばちょうでえ-おばあの唄- 

E2.12月の狼

E3.力は無限大 

E4.とうきょうセレナーデ

E5ありがとさよならまた会う日まで(ソロ)

3時間、めいっぱい歌ってくれました〜

〇笑い所

ズーズー弁のあんべさん演じる場内アナウンスで、「あんべ光俊のコンサートに来て、NSPやふきのとうのCD・・・」

と、ここまで聞いて、ええ?え?え?NSPやふきのとうのCD、あんべさんのライブ会場で売るの??なんで?どういうことって一瞬わけわかめの私達。

続きを聞いてのけぞりました。

「・・・を、トイレに忘れた方がおります、受付で大事に預かってますので、お心あたりの方は取りに来てください。できれば忘れないようにしてくださいね」

悲鳴あげて飛び上がったYさんに、私達は大爆笑。あーあ、やっちゃったよ。

好きなものはリンクするんです。ごめんね、あんべさん。

〇泣き所

短歌ではあちこちすすり泣き

今回私がぽろんと来たのは、03、04のFUKUSHIMAコラボ。

「黙ってることがイエスになるなら、そうさ僕も罪びとのひとり」

本当にそうだなって、あの日の絶望を痛みを私も忘れません。未曾有の震災&人災に、あんべさんという東北の魂を知るアーティストが存在したこと、そのことが奇跡かもしれないとさえ思えます。

高橋克彦氏は、震災の鎮魂と再生をここまで表現で極めたアーティストは文学美術他の分野においても未だいないと断言されていました。

やっぱりそうでしょそうでしょって、ファンとして誇らしく思います。

〇忘れ所

テリー伊藤さんが夏の4曲をラジオでピックアップした時、そのうち2曲が「遠野物語」と「星の旅」あんべさんのヒット曲だったという話。テリーさん、本当にあんべさんの大ファンなんだそうです。隠れあんべファンがどんどんカミングアウトはうれしいですね。

ところがあんべさん、MCでこの番組タイトル忘れてしまっておろおろ。後でちゃん紹介するねと言ったのに、結局うやむやに。

また、最初のアナウンスでアンコールのとき写真を撮っていいとコーナーがありますと仰ったので、わくわく待ってたのですが、これもうやむやに。。。

(´∀`σ)σ忘れたんだね。あんべさん、声もアクションも精神も若いけど、物忘れは年相応のようです(笑)

〇25歳の冬に

飛行船のデビューアルバムは、オフコースの二人がコーラスで参加してるので今から思うと贅沢なんだよね、とあんべさん。「25才の冬に」は小田和正さんの「ひとりで生きてゆければ」に触発されて作ったそうです。

なるほど。「人間なんて一人じゃないか今更泣き言、言うなんて」に共感してた青い時代がなんだかとても微笑ましく愛おしく思えます。

アレンジ小田さんでしたね。レコードでキーボード弾いてるのは、小田さん?萩原誠さん?今年は小田さんのライブ行ってないです。来年はいけるかしら?声が聴きたいのは秋の気配がするからでしょう。

チューリップは今年見られて本当に良かったです。限りある時間だから、行きたいライブ行けるときに行かなくちゃ。

〇美しいメロディー、熱いサウンドの後に来るもの

朝の月のインストと懐かしの写真で幕開け。なんて心洗われる綺麗なメロディでしょう。

私にとって若いころはあんべさんの音楽って、綺麗なメロディーやサウンドの重厚さに惹かれて、歌詞の良さはあとで気づいて感動を新たにするってパターン。

私がライブ行く他のアーティストと違い、正直歌詞は非常に聞き取りにくいですね。

思いのたけを歌う熱い歌唱と、観客と一緒に歌って彼の音楽に一体化していく感じから、やがて歌詞に興味を向けると、彼がいかに類まれなソングライターであることに気づく方、多いと思います。

非言語的感動からやがて言語で主題に迫る、そのタイムラグのある2度の感動って、おそらく洋楽好きではよくあることではないでしょうか。。

よく二郎さんや細坪さんが語られるボブディランの「風に吹かれて」やジョンレノンの「イマジン」の音楽体験を連想します。

私もさだまさしさんの「修二会」で非言語的にライブ演奏に激しく心揺さぶられたあと、あとで歌詞の意味を知ってさらに感動を深くしました。あんべさんの音楽もその傾向強いかもしれません。

でも一見さんにも即歌詞知ってほしいので、小田さんみたいに歌詞がテロップで流れるといいんですけどね(^^;無理か・・・。

↑「仙台で逢いましょう」この曲に導かれるように、あんべ光俊さんと16歳の時遠野で初めて会って、30数年後仙台で再会した私はじーんときます。

遠野物語&星の旅

以下余談ですが・・・

こんな風に全国のライブ仲間が集うきっかけのひとつがあんべさんの「遠野物語」。

私が中学生の時、アイドル歌手以外に初めて自分で買ったレコードで、この曲に憧れて遠野高校に進学したものの学校が荒れてて、現実に疲れてた思春期の苦い思い出から、最近までずっと「遠野」を好きになれなかったです。実際の遠野とイメージ違い過ぎるし、「星の旅」も当時一生懸命応援してましたが・・・、現実に不良がよく駆け落ちして東京に逃げては、数ヶ月後に連れ戻され破局、女はだいたい退学、男はまた違う女と逃げるみたいな事件が何件か続いてて、この手の駆け落ち系もいつのまにか嫌いになってました(−−;。堅真面目でプラトニックだったので不純異性交遊嫌いだったし。

だいたい彼らの駆け落ちは閉塞された田舎から逃げるための手段であって、愛を貫くためじゃないんだよね。

テリーさんはそうではないなら、純愛ストーリーも絵空事でないのですね(^^)。

そんな私も2011年の震災後、閉塞された遠野盆地と峠を越えると広がる三陸の海が心のよりどころだったことに気づいたのです。あの頃の音楽を聴くことで、美しい故郷が自分の心の中に蘇ってきました 。

今は「遠野物語」も」「星の旅」を懐かしさと同時に違う味わいを感じ、若い頃以上に好きになってます。

というのも、かつての私のように遠野に憧れるあんべさんやNSPのファンの方々と出会い、遠野を一緒に回ったことが、が私に故郷のイメージを変えてくれたのだと感謝してます。

その仲間の中心にいた盛岡のファンの方が8月に先立たれ、その方との思い出語りついでに北海道、福島、岩手から今回何人か集まってくれました。

みんな来てくれて本当にありがとう。福島からおいでのHさん夫妻、あんべさんをロック歌手と知らなかったそうで驚かれたそうですが、みんな一緒に盛り上がってくれて感激されたようでほっと一安心。

実は半月前のジャズフェスで、あんべさんに「あんべさんのライブ初めての方も仙台ライブにおいでですよ」とお伝えしたんです。あんべさん、「頑張ります」って目を輝かせてました。「盛り上げますよ〜」と言うと、「お願いします!」って。

なんか波長が合うわ〜。

その時の約束通りに、雲野又三さんの「声援し放題、拍手手拍子盛大」にってアナウンスもあって、熱く弾けました。いいわ〜このステージとの一体感。

おかげでその後の歌会「遠野物語〜手紙〜」の大事な聞かせどころで声が出なくなったというアクシデント@@;喉痛い、頑張りすぎた・・・・orz...。

マネージャーさんには「チケットたくさん買っていただいてありがとうございます」って言われて感激。そんな枚数でもないんだけど、今までそんな風に言ってもらったことないので舞い上がりましたーvv

が、よく考えてみたら買ったのは皆さんですよ。なんか手柄横取りしてごめんね。

皆さんに感謝です。良かったら、余裕があったら、またあんべさんのライブで逢いましょう。

もうこの世では会えなくなったあの人もきっとイーハトーブの風になって、私達と一緒に楽しんでくれてるはずだから。